人・物件と衝突のリスクが高い飛行

ドローンの飛行において、最も基本的な安全ルールの一つが「人、物件と距離を確保できない飛行」の禁止です。これを無視した飛行は重大な法令違反となります。


しかし、インフラ点検やイベント空撮など、業務によっては人や建物から距離を確保することが物理的に不可能なケースも多く発生します。


ドローン専門の行政書士が、「人、物件と距離を確保できない飛行」の定義と、飛行承認について解説します。


1. 「人、物件と距離を確保できない飛行」の定義と適用範囲

航空法において、ドローンを飛行させる操縦者は、以下の物件及び人に対して水平距離で30メートル以上の距離を確保しなければならないと定められています。

(飛行の方法)
第百三十二条の八十六 省略
2 省略
一 ~ 二 省略
三 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。
引用:e-GOV「航空法」


第二百三十六条の七十九 法第百三十二条の八十六第二項第三号の国土交通省令で定める距離は、三十メートルとする。
引用:e-GOV「航空法施行規則」

① 飛行禁止の対象となる「人」


第三者の人(操縦者やその補助者を除く)


通行人、イベントの観客、作業員など、ドローン飛行に関わらない全ての人。


② 飛行禁止の対象となる「物件」
「物件」とは、土地に定着しているもの、または移動が困難なものを指し、具体的には以下のものが該当します。


住宅、事務所、工場などの建物


車両(自動車、電車、船舶など)


工作物(橋、高架、電柱、信号機など)
ドローンに関わる業務で使用している自社の車などは「物件」に含まれないケースがありますが、リスクのあるものは30mの距離を確保するよう安全管理することが重要です。


2. 距離を確保できない飛行は「特定飛行」

ドローンが人、物件と距離を確保できない飛行を行う場合、航空法上の「特定飛行」に該当します。特定飛行を行うためには、国土交通大臣の承認を事前に取得しなければなりません。


3. 安全対策

プロペラガードの装備する。できない場合は第三者が飛行経路下に入らないように監視及び注意喚起をする
補助者を必ず配置し、万が一第三者が飛行経路下に接近又は進入した場合は操縦者に適切に助言を行い、飛行を中止する等適切な安全措置を行う、又は立入管理措置を行う必要があります。


4. 複雑な「特定飛行」の許可申請は専門家へ

ドローンの飛行許可申請は、夜間飛行、目視外飛行、そしてこの30mルールをクリアするための飛行など、複数の特定飛行の承認を同時に受けるケースがほとんどです。


ドローン専門の行政書士にご依頼いただくことで、お客様の飛行目的や業務内容に合わせ許可・承認を取得できます。