
ドローンによる危険物の輸送は、災害時の緊急物資運搬や、インフラ現場での特殊な資材運搬など、社会的なニーズが高まっています。しかし、運搬中に墜落した場合、単なる機体の破損だけでなく、火災、爆発、汚染など甚大な二次被害を引き起こす可能性があるため、航空法において最も規制の厳しい「特定飛行」の一つです。
ドローン専門の行政書士として、ドローンで危険物の輸送を行うための法的定義、厳格な許可基準、そして安全対策の要点について解説します。
航空法が定めるドローンの危険物の輸送とは、国土交通省令で定められた、輸送中の振動や衝撃によって爆発・炎上・有毒ガスの発生などの危険を生じる恐れのある物件を指します。
(爆発物等の輸送禁止)第八十六条 爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれのある物件で国土交通省令で定めるものは、航空機で輸送してはならない。
引用:e-GOV「航空法」
(輸送禁止の物件)第百九十四条 法第八十六条第一項の国土交通省令で定める物件は、次に掲げるものとする。
一 火薬類 火薬、爆薬、火工品その他の爆発性を有する物件
二 高圧ガス 摂氏二十度で絶対圧力百一・三キロパスカルにおいて、空気と混合した場合の爆発限界の下限が十三パーセント以下のもの又は爆発限界の上限と下限の差が十二パーセント以上のもの三 沢山あるので以下省略します。引用:e-GOV「航空法施行規則」
飛行するためのドローンの燃料、バッテリーは危険物は法令に定めた危険物に該当しません。
ドローンによる危険物の輸送は、その他の特定飛行(夜間飛行、目視外飛行など)と比べても、人命・財産に対するリスクが高いため注意が必要です。
ドローンにおいて最もポピュラーなものは、農薬の散布時の農薬運搬になります。
ドローンによる危険物の輸送の許可申請は、一般の飛行許可申請とは異なり、航空法だけでなく、関連する複数の法令知識が必要となることがあります。